カテゴリ:音楽( 5 )

万霊節






11月2日は、万霊節。
欧州では、亡くなった人の霊が帰ってくる日とされ、
お墓に花や飾りをして亡き人を迎える、
日本でいうお盆のような日。



今年は、愛犬のみならず、
縁の深かった、長年お付き合いのあった数人の方とのお別れがあった。
いずれの方も天寿を全うされ、静かに静かに天へと旅立たれた。



愛犬の最後の鼓動を手のひらではっきりと感じた私は、
その瞬間、彼がふっと別の次元へと旅立っていったように思った。
信仰を持たぬはずの愛犬から、
生きることの意味をこれほど考え、学ばせられるとは思ってもみないことだった。
すでに旅立った愛しい命、魂たちに想いを馳せ、
今日は近くに帰ってきてくれるのだと無邪気に思うことにして、
花を飾り、祈りの時を持とう。




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Richard Strauss/リヒャルト・シュトラウス 作曲
Hermann von Gilm/ヘルマン・フォン・ギルム 作詞



Allerseelen/万霊節



Stell auf den Tisch die duftenden Reseden,
Die letzten roten Astern trag herbei,
Und laß uns wieder von der Liebe reden,
Wie einst im Mai.



テーブルに匂やかなモクセイを生けよう、
最後のアスターの花もそこに添えよう、
そしてまた愛を語り合おう、
かつての五月のように。



Gib mir die Hand, daß ich sie heimlich drücke
Und wenn man's sieht, mir ist es einerlei,
Gib mir nur einen deiner süßen Blicke,
Wie einst im Mai.




手をこちらに出し、それを握らせておくれ、
人に見られてもかまいはしない、
そして美しい眼でじっと見つめておくれ、
かつての五月のように。




Es blüht und duftet heut auf jedem Grabe,
Ein Tag im Jahr ist ja den Toten frei,
Komm an mein Herz, daß ich dich wieder habe,
Wie einst im Mai.



今日はどの墓にも匂やかな花が供えてある、
一年に一度、死者がこの世に帰ってくる日、
ぼくの胸においで、そしてまた抱きしめたい、
かつての五月のように。。。









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by mahoroba-diary | 2018-11-02 08:13 | 音楽 | Comments(4)

あたたかな音の夕べ







昨晩は、都内某所で行われたチャリティーコンサートに出かけました。



知る人ぞ知る、欧州の素晴らしい室内楽団による音楽の調べに、
心行くまで酔いしれた夕べでした。



あたたかく、そして開かれた音の響き、
美しいハーモニーと音のシャワーを思う存分浴びて、
久しぶりに聴く生の弦楽器の調べに心から感動したひとときでした。



終演後は、チャリティーの趣旨にも賛同して、
観客それぞれ幾ばくかのお金を寄付する、
主催者や音楽家の方々のご尽力がなければできないことですが、
そこに集った人々は皆一様に大満足の笑顔。
素晴らしい試みだと感心しました。




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終演後は、ひょんなことから、
奏者の方々数人との会食に参加させていただき、
かなり遅くまで、彼らとの会話を愉しみました。



1年のうち、約1/3は欧州や世界各地を演奏旅行しているという彼ら。
普段の生活や、趣味の話、
楽団員としての喜びと苦労、
食べ物の話などなど、
終始明るく笑いの絶えない時間を過ごさせていただきました。
彼らのお人柄の一端に触れさせていただき、
その温かみとシンパシー溢れる演奏に心から納得したのでした。



気がつけば真夜中近く。
平日の都会の雑踏の中で、
お別れと感謝の握手を交わし、
長く手を振り合いながら、
お互いを見送ったのでした。














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by mahoroba-diary | 2018-10-10 10:34 | 音楽 | Comments(2)






オットさまの帰宅前。
その日するべきことを終えて、また、夕食の準備を終えて、
ひとり静かに音楽を聴く時間は、
わたしにとっていつもかけがえのないひとときとなります。



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昨晩の1枚。
ジャン=マルク・ルイサダのショパンが聴きたくて取り出した。



彼の演奏も20代の頃からよく聴いている。
今からだいぶ前のこと。
ある欧州の街で彼の演奏会に足を運んだ翌日、
とあるレストランでランチをとり、
席を立って振り返ると、なんとルイサダがすぐ後ろで食事をしていて、
私の顔を見るなり、破顔一笑、本当にニコッと笑顔を向けてくれたのだった。
その時の事は、私にとり、今も忘れられない良き思い出となっている。


彼の演奏は、流麗で、粋で、、、
洗練とはなにかと思わず再考させられる。
フランス的である、とも言わざるをえないだろう。
それでも、決して表層的なそれらではなく、
確実に彼自身の誠実で真摯な感受性から発していることがわかるから、
心から魅了される。
そして、なにより演奏に温かみがある。
心が開かれている。
彼のあのあたたかく、愉快な笑顔を懐かしく想い出す。



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様々な音楽家の演奏から、
人間としての理想像やあるべき姿を想像することも悪くない。
作曲家が残したスコアをどう演奏し、どう味付けをするのか。
そこには伝統があり、個人の技量技術があり、そして感性が形作る。
多分に演奏する人の人間性や人生経験も反映される。
そしてそれは演奏を聴く側のそれらと呼応する。
スタイルとはなんぞや、
ということを体感し考えるのにも、音楽鑑賞はとても良い時間になる。




少し前から、国内外のニュースに触れたり、
身近なところで起こる様々な問題に触れ、
なにかが急速に変化しているのを感じて、
時折不安を覚える。
地震や異常気象といった自然災害の脅威もある。
オリンピックを前に次々に変化していく東京のど真ん中で生活していることも
心理的に影響しているかもしれない。
なにかホッとできる、過去からの連続性の上にいる自分を無性に確認したくなる時がある。




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by mahoroba-diary | 2018-07-19 10:29 | 音楽 | Comments(6)

ディヌ・リパッティ










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ディヌ・リパッティ


1950年、33歳で早逝したピアニスト。



彼の奏でるバッハが聴きたくて、
久しぶりに書棚から取り出した1枚。












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by mahoroba-diary | 2018-07-10 09:03 | 音楽

我が、永遠の心の恋人






梅雨入り宣言と共に、
太陽の輝きは届かず、しっとりとした空気に包まれています。
所用を終えて帰宅した後、夕食までのひとりの時間、
久しぶりにある曲が聴きたくなって、お気に入りの一枚を取り出しました。



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ピアニスト、イーヴォ・ポゴレリチ
20歳前後の頃に、初めて彼の演奏を聴いて以来、
たちまち恋に落ちてしまった、わたしにとっての、永遠の心の恋人。
(もちろん一方通行。そして我がオットさまも公認。)



昨日、取り出した1枚の中に録音されている、
ブラームスのインテルメッツオ(間奏曲)がどうしても聴きたくて、
久しぶりに、、、、音に身を委ねました。



このCDの録音当時、彼は30歳前後であったと思われる。
ブラームス晩年の愛に満ちた美しい小品を
これほどまでに深く美しく奏でていたのだと改めて気づかされる。。。
窓の外はグレー一色の夕暮れ時でしたが、
この上もない、極上のひとときとなりました。


間奏曲、、、、
思えば6月の梅雨時は、一年のうちの間奏曲のようなものだ。
今年ももう半年が過ぎたのだと気づく時でもある。



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80年代、90年代、彼の演奏は凄かった。
その演奏について、多くは語るまい。
とにかく、心を鷲掴みにされたように虜になって聴いていた時期があります。


師であり、妻であった人の旅立ち以降、
演奏も容姿もまるで別人のように変わってしまった。

2000年代以降、欧州で日本で、何度か、彼の演奏会に出かけたけれど、
ある時以降、もう彼の演奏を生で聴くのはよそう、と決意し、
ここしばらくライブには接していません。


天才は、なにかをきっかけに、
それ以前とそれ以降ではまったく別次元に変わってしまうことがあるのだと
思っています。



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来日回数も多いアーティストであり、
今年も半年後の12月にまた日本にやってくるらしい。


そして、あのポゴレリチが今年で60歳になるのだという。
もうじき、チケットが発売されるのですが、
久しぶりに、『今』のポゴレリチに会いに行こうかな、
そんな気持ちに心が揺れています。









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by mahoroba-diary | 2018-06-07 09:35 | 音楽 | Comments(6)

日々の諸々を綴ります


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