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ヨーロッパの心








先日の11月11日の夜、テレビのニュースで
パリで行われた第一次世界大戦終結100周年の記念式典の様子が映し出されていました。


若き、マクロン・フランス大統領の眼差しと演説を聴きながら、
現在の世界情勢がいかに不安定で混迷に満ちているかを再感しました。


テレビの画面に映し出された、メルケル・ドイツ首相の憂いに満ちた表情、
トランプ・アメリカ大統領の硬直した表情からも
漠然とした不安感に拍車をかけられるような思いがしました。


昨日は、朝日新聞のネット版で、
駐日フランス大使とドイツ大使が連名で寄稿した記事を読みました。



先日、私はブログの記事で、世界は面白いと書きましたが、
それはあくまで世界の多様な文化や人の日常の営みのこと。



世界各地の移民・難民問題、
世界人口の爆発と日本の人口減少、
主要国による覇権争いなど、
一見普通の平和な日常を享受しているように感じてはいても、
いかに混沌とした世界に生きているのかを新聞などを読むにつけ、日々実感しています。




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犬養道子著
「ヨーロッパの心」
岩波新書


昨年、逝去された犬養道子氏による、
1991年に発行されたこの本は、
私が欧州に暮らし、旅を重ねる中で生じた数々の疑問に
時に答えを、時にヒントを与えてくれた、
私にとっての名著のひとつです。



ひとりの日本人が、欧州各国の民の特性、文化、そしてその本質を
これほどまでに的確に捉え、その上で多様性を統合する意義についてまで論じる
稀有な名著と思うのですが、時が経ち、
現実の世界は、協調性や統合からは、かなりベクトルが変化しているようです。
長い歴史と経験に裏打ちされた寛容性の意義を知りつつも、
グローバル化し、人も物もボーダーレスに流通する時代に、
かえってナショナリズムや排他主義、一国主義が台頭してくる。



かつて辿った過ちを繰り返してはならない、
欧州各国の首脳陣の表情からその決意を感じたと同時に、
抱える問題の大きさと複雑さに天を仰ぐしかないような諦めも感じて、
微かに溜息してしまったのでした。










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by mahoroba-diary | 2018-11-14 10:51 | 読書 | Comments(0)

世界はおもしろい








オットさまが数日のビジネストリップから帰宅。


今回はアジアの某国。


私自身行ったことのない都市だったので、
お疲れ加減を多少気にしながらも、
興味が先に立ち、いろいろと質問してしまう。



しばし会話をしていたら、
なにかを思い出したように席を立って、鞄からなにかを取り出し、
「そうそう、これ、まほろばにお土産ね。」




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差し出されたのは、2冊の本。


「え~。ありがたいけれど、私読めないよ。」

「僕だって読めないけど。でもきっと頭の体操になるから読んでごらん。」


こういう発想の人だから一緒にいるんだわ、と妙に納得。笑
今、私には読むために用意した数冊が机に重なっているのだけれど、
有難く読ませて(眺めさせて)いただきます。



中国陶磁器は美術館で見るたび、興味が募っていた。
この本は、現地の仕事関係の人に本屋に連れて行ってもらい購入したとのこと。
どんな本屋なの?と聞いたら、日本でいう蔦屋みたいな書店だという。



パラパラと頁をめくると、
共通の文字を持つということはこういう感覚なのかと今更ながらなにかに気づく。




しばらく話し終えて、
テレビを点けると、唐突だが、なんと私の親戚が映っていた。
実は、その人のことを朝から思い出していたので、実に奇妙な感じがしたが、
テレビの中に映る姿と話を聞いて、近況を知った。
なにしろ世界を駆け回っている人だから滅多に会うことはできない。
会うことはなくてもその人が日々経験していることが画面から伝わってきてワクワクした。



世界はまだまだ広いし、面白い。









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by mahoroba-diary | 2018-11-11 08:18 | 読書 | Comments(0)

幕末の写真集







今年は明治維新から150周年だそうですね。
歴史が好きで、
特にこの時代には興味があるので、
これまでもいろいろな本を読んできました。




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こちらは、結婚する前からオットさまの書棚にあった幕末の写真集。
幕末は、日本において写真の幕開けでもありました。
この本は当時の様子を知ることができるので、時々紐解きます。
とても分厚い写真集です。




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これは品川の薩摩高輪藩邸付近の様子。
現在も、品川駅高輪口に降りるとまっすぐに坂道がありますが、
ほぼ同じ地形であったことがわかります。
藩邸があったところには、現在は品川Goosというホテルがあります。
以前はホテルパシフィック東京だったところです。
羽織袴で刀を脇に挿した武士の姿が数人見えます。



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こちらは、戊辰戦争に向かう薩摩藩士たち。

中央には、島津久光の息子、珍彦(うずひこ)が見えます。

すでに髷を落としている人が多いですね。

藩士たちの顔つきからいろいろと伝わってくるものがあります。




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徳川慶喜



あくまで私比ですが、かなりのイケメンです。
慶喜は、維新後の洋装姿も実に美しい人。
今年春に訪れた水戸でも、たくさんの写真を拝見しました。
姿だけでなく、大変頭脳明晰であったと思われます。




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勝海舟



個人的にとても興味を覚える人物です。
この写真から、どんな声で、どんな口調で、どんな物腰だったのだろう、
などなど、想像します。



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榎本武揚



この人もかなりのイケメン。(あくまで私比。)

洋装姿の写真の方が一般的には目にしますが、
個人的には、このような和装姿の方が似合っている気がします。





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武士や有名な人物のみならず、
無名な普通の人々の写真も載っています。
当時の文化や風習もよく伝わり、
こんな暮らしをしていたのだなと気づかされます。



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茶屋で寛ぐ人々。




その他、江戸や京都、長崎、横浜などなど各地の風景の写真もあって、
とても興味深い写真集です。


どの写真で見ても、瓦の平屋が並び、空が広いのです。
今よりも当時の方が美しい街並みだと感じます。


普段は大河ドラマを観ない私も、
『西郷どん』は初回からずっと観ています。
林真理子さんの原作も読みました。


東京は、一見高層ビルが立ち並ぶ現代的な街に見えますが、
歩くと至る所に江戸時代の痕跡があります。
建物は残っていなくても、藩邸跡や個人宅跡など、
随所に説明書きがあります。

どこでもドアがあったなら、
是非とも江戸の街並みや東海道の様子を観て
人々の息づかいに接してみたかったと思います。









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by mahoroba-diary | 2018-10-25 09:13 | 読書 | Comments(8)

週末の新聞タイム








今年も8月6日が巡ってきました。
日本にとっても、世界にとっても忘れてはならない日。
犠牲になられた方々に黙祷を捧げ、
心から平和を祈念いたします。









昨今、新聞離れがよく話題に上りますが、
私は新聞を読むことが好きです。

実家では、祖父や父の方針で、情報が偏らないように数紙を毎日とっていましたし、
家族全員が特に週末には新聞を読む時間を大切にしていました。

オットさまの家族も同様。
時折、義母と話すと、新聞を隅々まで読んでいることがよく伝わり、
こちらが知らない情報までよく知っていたりして驚くほどです。

そんな私ですが、
だいぶ前から、新聞は紙ではなく、インターネットで読んでいます。
かつて住んでいた国の新聞にも時折目を通すので、
PCにお気入りの新聞のフォルダをつくって、そこからざっと目を通すことが日課になっています。

現在、我が家でとっている紙の新聞は1紙のみ。
それも主にオットさまが読むイギリスのFT紙です。
いつもは日曜日に新聞を読むためだけに行くお気に入りのカフェがあるのですが、
昨日は暑くて、さすがに自宅で新聞タイムでした。

彼が一通り目を通した後に、私もトライしてみました。


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欧米系の新聞は、週末は特に充実した内容です。


私にはとてもスラスラ読めませんが、
興味を刺激された記事には、しばらく目を通してみます。


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オットさまは英語はパーフェクトな人で、
試しに受けたTOEICなんかも満点でした。
それでも、FTを読んでいると時々知らない単語が出てきて、
その都度調べるそうです。


普段読まない新聞に目を通すと、
いかに世界は広いのか、
いろんなことが起きているのかを知り、
ものすごく刺激を受けます。
インターネットだと読みたい記事だけを読んでしまいがちですが、
紙の新聞だと、すべてに目を通すことになるので、
その点は、知識や情報が偏らないために良いことだなと改めて思いました。













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by mahoroba-diary | 2018-08-06 09:33 | 読書






とあるところで講演を拝聴し、
ぜひこの方のお書きになった本を読みたいと思い、
少し前からゆっくりと読み進めている本です。
(とてもではないが、スラスラと読める本ではない。)


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渡辺保 著
『戦後歌舞伎の精神史』(2017年出版)



初めて歌舞伎を観たのは20歳前後の頃。
学生だったので、末席から鑑賞したのですが、内容についてはあまりよく覚えていません。
その後、家族とも何度も足を運び、
故12代目市川團十郎、故18代目中村勘三郎の芸にも眼前で触れることができたのは
今となっては貴重な機会でしたが、
今もって、腑に落ちない、理解できないことが多々あります。



著者の文体がわたしにはとてもわかりやすく、
難しいですが、少しずつ読み進めています。




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時にハッとする一文があったりします。


P.273 第五章 孫の時代より(引用はじめ)
「西欧文化の身体感の基本はモノとしての物質的な肉体にある。しかし、日本の身体感は幻想の中のイメージとして存在する。モノとしての身体から発する動きが空間に描き出すイメージこそが日本の身体なのである。」(引用おわり)



この一文だけでも、わたしにとっては大きな収穫でした。
とにかく、凄い本です。




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さて、今朝の一服は、お煎茶で。

オットさまが信州土産に持ち帰ってくれたもののひとつ、
桜井甘精堂の『栗かのこ』とともに。

「紫陽花の季節に栗ですか??」と毒づいてみましたが、
味わってみれば、なんと美味しい。。。
濃い目に淹れたお茶のほのかな苦みと相まって、
優しい気持ちになりました。







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by mahoroba-diary | 2018-06-16 09:26 | 読書 | Comments(0)






先月5月2日、
絵本作家のかこさとしさんご逝去の報に、
新聞やテレビのニュースで接していました。


「できれば絵本作家になりたかった」とよく話していた私の母でしたが、
母自身がかこさんのファンでもあり、
子供の頃、かこさとしさんの絵本もよく読み聞かせをしてくれていたことを想い出します。


昨晩は、NHKのテレビ番組「プロフェッショナル」で、
かこさとしさんが、最後のときまで、創作に命をかけられていたご様子を拝見しました。
支えるご家族の深い愛情やご理解も画面から伝わってきて、
本当に尊い映像でした。


幼い頃に良く読んだ、だるまちゃんシリーズなど、
その内容がありありと想い出されて、
懐かしさでいっぱいになるとともに、涙があふれてとまらなくなりました。

かこさとしさんの絵本作家としての活動の原点は、
敗戦時、19歳だったかこさんが味わった、
周囲の大人たちの180度の転換を目の当たりにしたことだったと知りました。


「こども」への優しいまなざしとリスペクトに溢れ、
「自分の目で見て、自分の頭で考えること」を自然のうちに育んでくださる貴重な絵本、
わたしもその恩恵にあずかっていた一人だと今更ながらに気づき、
心からの深い感謝をしたひとときでした。


先日のアメフト問題でも考えさせられましたが、
とかく子供の頃から、
「親や先生の言うことをよく聴きなさい」と言い聞かせられ、
右向け右、左向け左になりがちな私たちの国、
周りの考えや価値観に同調しすぎて、流されてしまうことが多いのだと思います。
自由と無責任をはき違えてはいけないけれど、
個性やそれぞれの意見を受け止める場が増えて欲しいと思います。


かこさとしさん、
本当にありがとうございました。
心からご冥福をお祈り申し上げます。



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外出すると至る所で、紫陽花が咲いています。
花は優しい、、、
眺めていると、いつもなにかを語りかけてくれるような気がします。







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by mahoroba-diary | 2018-06-05 07:57 | 読書 | Comments(6)

辰巳芳子さんの本







いわゆる料理本は、世の中に数多くあれど、
本当に手元に置いておきたい本というのは意外に多くはありません。


プロの技法が写真付きで網羅された専門書から、
料理研究家の方のレシピブックまで、
様々な本があるけれど、
料理に関して座右の銘のようにいつも傍らに置いておく本の筆頭は、
辰巳芳子さんの本です。



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お母様の辰巳浜子さんの本や辰巳芳子さんの本は、
祖母や母の書棚にもあって、子供の頃から時折紐解いていましたが、
かつてはチンプンカンプンでした。


結婚して、お料理を習うようになり、
時折食べ歩きをしたりして、プロの作る料理に憧れた時期もあったけれど、
いろいろな経験を経て、
とみに近年、辰巳芳子さんのお料理の世界には、
学ぶことが多いと実感しています。



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ベストセラーとなったこちらの本、
お持ちの方も多いかと思います。


本の内容はさることながら、
先生の本は表紙も素晴らしいと思っています。


こちらの表紙絵は、
ルートヴィヒ・ヒルシュフェルトマックの絵
(ベルリン・バウハウス美術館蔵)
料理は図式化できるとのお考えをお持ちだった先生が、
ベルリンのバウハウス美術館でこの絵に出合い、共感を分かち合う喜びを得たのだそうです。


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こちらの絵は、イタリアの画家、ジョルジュ・モランディの作品。
先生のご自宅に飾られている絵のようです。

静物画と風景画という、
限られた主題を繰り返し繰り返し描いたこの画家の芸術性に、
料理家として、大根や人参を触る行為を重ね、
一点一点おろそかにしない姿勢を心の支えとされていらっしゃるようです。


この本には四季折々に提案されたスープやお粥、箸休めのレシピが掲載され、
読んでいるだけでも、いろいろな学び気づきを得ます。
写真もとても美しいです。


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こちらの表紙は、
ピエト・モンドリアンの「ブロードウェイ・ブギウギ」、
やはり先生のご自宅に飾られている絵だそうです。

この本は仕込みもの各種を見事に分類された大変意義深い名著だと思いますが、
この抽象画に、料理の本質を重ねられて共感されたようです。
初めて読んだときは、ちょっと言葉にできない衝撃を受けました。


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DVD
天のしずく


東日本大震災の後に制作された映画、
何度も繰り返し観ました。
涙なしには観られなかった。



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スープの本

和と洋に分類されています。
辰巳芳子さんのお料理の世界に流れる論理性がとても好きです。


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各界のさまざまな方との対談集。
こちらもとても刺激をうけ、繰り返し読んでいます。



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こちらは最近読んだ本。

雑誌『和楽』に掲載された連載をまとめた本のようですが、
とても心に響きました。




若い頃にはわからなかったけれど、
今になるとわかり始める、そんなことが増えてきました。
辰巳芳子さんの本には、厳しさと愛があり、
読んでいると、時に叱咤激励、
時に深い慰めと共感、
物事の本質について考えさせられる時間を与えられます。
片手間に読めるものではありませんが、
これから梅雨の季節、
室内で、もう一度じっくりと読む時間を作りたいと思っています。








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by mahoroba-diary | 2018-05-30 10:44 | 読書 | Comments(4)

日々の諸々を綴ります


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