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まほろば日記 四季折々、五感を通して感じること、想い出や呟きも含めた日々の徒然日記です

Boléro






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子供の頃、
父がある日、
”まほろばは、モーリス・ラヴェルのボレロという曲を聴いたことはある?”と私に尋ねた。
”この曲は素晴らしい。一見単調に思えるリズムの繰り返しだけれど、
しばらく耳を傾けていくうちに、知らず知らずのうちになぜか興に入るんだよ。”
”なんなのだろうね、この素晴らしさは。”
そんなことを呟きながらレコードをかけてくれたことがあった。


ひとつの同じリズムが最初は無機的に静かに繰り返されていく。
その上に様々な楽器が次々にモティーフを奏で繋いでいき、
少しずつ、少しずつクレッシェンドしていく。
いつの間にか気づくとオーケストラは一丸となって壮大な叙事詩を奏でているかのよう。
最初は無為に過ごしていた人間が、いつのまにか芽生えていた野心や希望、反骨精神をたぎらせて、
人生の荒波に果敢に漕ぎ出して行くかのよう。
それは人間賛歌のようにさえ聴こえ、聴く者の魂を激しく揺さぶる。
この曲のダイナミズムに触れるたび、
私は、若き父が滾らせていたのだろう心の内の静かな情熱を想う。


父は普段、決して多くを語らないけれど、
いつも要所要所で、大局観に基づいた人生の示唆を私にさりげなく示し続けてくれる存在だと思う。
饒舌に語るよりは背中で生き方を見せてくれる、
私にとっていつまでも安堵感を覚える大切な人。


父の日の今日は、
父の好物を贈り、家族皆で会話を交わした。
愛すべき父の存在に今日も心から感謝。




Karajan+Berliner Philharmoniker

Maurice Ravel
"Boléro"










by mahoroba-diary | 2021-06-20 14:19 | 音楽