梅雨入り前のわずかな時に咲く、
花菖蒲を愛でに、
昔懐かしい場所を訪れました。
広い庭園の中の一角にある花菖蒲田。
そこに木道が渡され、鑑賞できるようになっています。
満開ではありませんでしたが、
色とりどりの花菖蒲が、
穏やかに、優美に
その姿を見せてくれました。
花菖蒲田をゆっくりと歩き、まるで時がとまったかのような静かで美しい時間を過ごしました。
この庭園は、江戸時代初期、1629年(寛永6年)に、水戸徳川家の祖である頼房が、中屋敷(のちに上屋敷)内に造った庭園で、二代藩主光圀(黄門様として有名)の代に完成しました。
中心にとても大きな池がある、
回遊式築山泉水庭園です。
光圀は、庭の造成にあたり、当時、明の滅亡に際し、長崎に亡命した、明の遺臣、朱舜水の意見を用い、中国の風物を取り入れた中国趣味豊かな庭園となりました。
庭園内には、梅林、桜、燕子花、稲田、蓮池、紅葉林などがあり、一年中、季節の草花を愉しみながら歩くことができます。
明るく、開放的な雰囲気のこの庭園が、私はとても好きです。
この日は、梅雨入り前の穏やかな風がそよぎ、とても心地よかったです。
奥に見えるのは東京ドーム。別の場所からは、後楽園遊園地のジェットコースターも見えます。私が子供の頃はまだドームではなく、後楽園球場がありました。
時折、風に乗って、ドームの中で行われている野球試合の歓声や、ジェットコースターを愉しむ人々の絶叫が聞こえたりします。
特別史跡・特別名勝小石川後楽園
水戸黄門様ゆかりの名園。
後楽の名は宋の学者、范仲滝の著書「岳陽楼記」の中の、「士はまさに天下の憂に先んじて憂い、天下の楽に後れて楽しむ」から命名されたという。
震災や戦災をくぐり抜け、
また都市化の進む中で、現在に残された貴重な庭園。
現在では都立文化財9庭園のひとつとして、
都民に深く愛されています。
因みに都立文化財9庭園は、
浜離宮恩賜庭園
旧芝離宮恩賜庭園
小石川後楽園
六義園
旧岩崎邸庭園
向島百花園
清澄庭園
旧古河庭園
殿ヶ谷戸庭園
※花菖蒲は、今週いっぱい
菖蒲田に木道が渡され、鑑賞できるようです。