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まほろば日記 四季折々、五感を通して感じること、想い出や呟きも含めた日々の徒然日記です

The 備前





先日、日本六古窯のひとつ、
備前焼の展覧会を拝観しました。




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場所は、東京国立近代美術館工芸館
(旧近衛師団司令部庁舎)


建物は重要文化財に指定されています。



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こちらの工芸館は今年、金沢に移転されることが決まっています。
現・建物の移築はなく、
金沢の旧第9師団司令部庁舎と旧金沢偕行社を移築・活用して
国立工芸館として兼六園の近くに今年完成予定だそうです。
(オープンは2020年オリンピック開催前を予定しているそうです。)




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桃山時代から現代の陶工による作品まで、
備前焼のみの展覧会。


備前焼は釉薬を一切使わず、ただ赤松を焼成燃料として
土と炎のみで焼き上げる『自然』の美。


登り窯や穴窯などの薪窯で、
1千年以上昔と変わらぬ方法で、
10日から14日くらいの日数をかけて
昼夜、火を絶やさずに焚き続けるという。
まさに『自然』が焼き上げる豪快で素朴で力強い焼物。


土もまた備前で取れる粘土層を使うのが伝統だそうだが、
最近では土の枯渇も懸念されているらしい。




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今回拝観した現代の陶工の作品のうち、
人間国宝の伊勢崎淳氏の作品に
我が夫はいたく魅せられたらしい。
随分長いこと魅入っていた。
珍しく、欲しい、なんて言い出している。


私はやっぱり桃山時代の古備前に魅せられる。
大切に使い込まれ、保管され続けたものにしかない
圧倒的な存在感。
作為の様が、あの時代にしかなしえなかったような造形美で、
なんとも言えずカッコいいのだ。
日本人の精神の古層を眺める思いがする。


逞しい美に溢れた作品群を前にしていると、
脳裏にふと
漆黒の中に炎とともに浮かび上がる
不動明王を見るような思いがした。
厳しさの奥に、無限に広がる慈愛と優しさを感じるからなのか・・・





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我が家の備前焼のひとつ・・・




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備前六姓窯元の、ある方の作品。


とてもお世話になった知人から贈られたもので大切にしている。




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土と火と人の手によって出来上がる
『自然』の美。




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炎によって出来上がる力強く荒々しい肌に
なぜだか惹かれる自分がいる。


飾り気がない分、
本質が浮かび上がり、
小賢しさや下手な計算などは
まったく通用しない世界だと思う。



備前の緋襷の大皿に
豪快な料理を盛り付けて
ドンと出てくるような食卓にも実は憧れている。



自作の野菜、野山で摘んだ野草、自分で釣った川魚などを
炭で調理し、備前などの豪快な土ものの器に盛りつけられた
男料理などを供されたら、
私など思わず惚れてしまうかもしれない。













by mahoroba-diary | 2019-05-09 00:00 | アート・美術館・ギャラリー