2018年 05月 30日
いわゆる料理本は、世の中に数多くあれど、
本当に手元に置いておきたい本というのは意外に多くはありません。
プロの技法が写真付きで網羅された専門書から、
料理研究家の方のレシピブックまで、
様々な本があるけれど、
料理に関して座右の銘のようにいつも傍らに置いておく本の筆頭は、
辰巳芳子さんの本です。
辰巳芳子さんのお母様である辰巳浜子さんの本や
辰巳芳子さんの本は、
祖母や母の書棚にもあって、子供の頃から時折紐解いていましたが、
かつてはチンプンカンプンでした。
結婚して、お料理を習うようになり、
時折食べ歩きをしたりして、プロの作る料理に憧れた時期もあったけれど、
いろいろな経験を経て、
とみに近年、辰巳芳子さんのお料理の世界には、
学ぶことが多いと実感しています。
ベストセラーとなったこちらの本、
お持ちの方も多いかと思います。
本の内容はさることながら、
先生の本は表紙も素晴らしいと思っています。
こちらの表紙絵は、
ルートヴィヒ・ヒルシュフェルトマックの絵
(ベルリン・バウハウス美術館蔵)
料理は図式化できるとのお考えをお持ちだった先生が、
ベルリンのバウハウス美術館でこの絵に出合い、共感を分かち合う喜びを得たのだそうです。
こちらの絵は、イタリアの画家、ジョルジュ・モランディの作品。
先生のご自宅に飾られている絵のようです。
静物画と風景画という、
限られた主題を繰り返し繰り返し描いたこの画家の芸術性に、
料理家として、大根や人参を触る行為を重ね、
一点一点おろそかにしない姿勢を心の支えとされていらっしゃるようです。
この本には四季折々に提案されたスープやお粥、箸休めのレシピが掲載され、
読んでいるだけでも、いろいろな学び気づきを得ます。
写真もとても美しいです。
こちらの表紙は、
ピエト・モンドリアンの「ブロードウェイ・ブギウギ」、
やはり先生のご自宅に飾られている絵だそうです。
この本は仕込みもの各種を見事に分類された大変意義深い名著だと思いますが、
この抽象画に、料理の本質を重ねられて共感されたようです。
初めて読んだときは、ちょっと言葉にできない衝撃を受けました。
DVD
天のしずく
東日本大震災の後に制作された映画、
何度も繰り返し観ました。
涙なしには観られなかった。
スープの本
和と洋に分類されています。
辰巳芳子さんのお料理の世界に流れる論理性がとても好きです。
各界のさまざまな方との対談集。
こちらもとても刺激をうけ、繰り返し読んでいます。
こちらは最近読んだ本。
雑誌『和楽』に掲載された連載をまとめた本のようですが、
とても心に響きました。
若い頃にはわからなかったけれど、
今になるとわかり始める、そんなことが増えてきました。
辰巳芳子さんの本には、厳しさと愛があり、
読んでいると、時に叱咤激励、
時に深い慰めと共感、
物事の本質について考えさせられる時間を与えられます。
片手間に読めるものではありませんが、
これから梅雨の季節、
室内で、もう一度じっくりと読む時間を作りたいと思っています。
by mahoroba-diary
| 2018-05-30 10:44
| 読書